ザ☆シュビドゥヴァーズの日記

毎日更新されたりされなかったりする日記

関西アイマス合唱部収録の時の話4

前回まで:ギリギリ15分位の猶予で当日使う機材の足りない分を調達成功。関西へ。

 

関西アイマス合唱部収録の時の話3 - ザ☆シュビドゥヴァーズの日記

 

当日

一瞬しか眠れなくても、不思議と本番当日って身体はスッキリ動くもの。

収録の時のプレッシャーは、一人の演者として出るコンサートの比でないのですが、その分楽しさも強いです。

 

朝6時の電車で東京に出て、新幹線で大阪へ。

寝過ごすと完全アウトなのぞみ号博多行きの中で爆睡し、フラグを回収することなくお昼前くらいには吹田に到着、駅前で食事していた関西勢と合流して、吹田市民館へ。

この駅から会場への移動でキャリーケースの車輪が壊れました。この日のために買った新品です。敗因は分かっています。機材やケーブル総延長100m以上、30kg近い荷物を詰め込んだからです。ハードケースとはいえ、あれはふかふかしたお着替えとかを入れる為のもの。納入2日目にして壊れたキャリーケースは不良品のレッテルを貼られて(何故か返金処理が通った)返品されていきました。ごめん。金塊の密輸みたいな事して悪かった。

 

吹田市民間に合流、皆様にご挨拶して、打ち合わせしつつ今日の予定を確認します。

「すいません、今日休日で5時以降は施設取れませんでした」

「…!」

再び緊張が走る録音班。

2日前の打ち合わせで、午前中が取れなかったのに加え、顔パスでなんとかなるはずだった5時以降も施設が使えない事が判明。初期の「午前発声、午後から収録開始して夜枠まで」が「全部含めて午後~5時まで」に大幅に短縮される事になりました。

 

 

 

第四回「それは1テイク目の終了時間」

 

市民館について、搬入が終わって12時半。

まずは発声練習です。この段階ではマイクスタンドがごちゃごちゃ立っていると邪魔になるだろうということで、死角でセッティングを進めることにしました。スタンドを立てる以外の配線や機材、パソコンのセッティングを組んでおき、終わり次第立てていこう、という算段です。

 

事前の目論見としては、1~1時半には機材セッティングを終わらせて収録スタート。そこから遅くとも2時15分までにベースとなる1テイク目を仕上げたい。最短45分。しかしこれはあくまで理想値で、条件によっては1テイク目の完成には3時間以上要する事もザラにあります。出来る限り速くセッティングを済ませて、少しでも時間を多く確保したい所です。

 

幸い、ディレクターを始めとした歌い手以外のメンバーが手際良く動いてくれたおかげで、発声が終了する1時半には、録音側のセッティングが大方完了しました。

あとは、歌い手の皆さんと一緒に手持ちのヘッドホンを繋げてもらい、モニターの配線を通して準備完了、休憩が終わったら録音開始です。

 

と、ここで

「もう一度全パートをシャッフルして2~3回確認したい」

と要請が。

予定上では既に収録開始時間です。これがシュビの収録であれば「そんなのいいから早く始めさせろ」と押し切る所ですが、合唱団には団それぞれの流儀があります。初めての場所ならなおさら、うまい事すり合わせて進行するのも、重要な要素になって来ます。

まあ数回通すくらいなら大丈夫か…。その間にマイク立てて調整しとこう。そんなに作業量無いけどやらないよりマシだし。

ディレクター「では2~3回通して、そのまま収録で」

練習が再開します。

 

ところが、確認がやけに入念です。

全てのセッティングが完了しても、まだ終わる気配がありません。

1時40分。50分。

私もディレクターも若干イラついてきます。

1時55分。…2時。

…1テイク目の猶予が1/3を切る。もうこれ以上待てない。

「こちらの準備は出来てるので」

痺れを切らして声をかけます。しかし。

「あと15分ありますよね」

…!?

何かがおかしい。

「2時15分までですよね?1時半から45分って聞いてたんでそれに合わせて…」

「あっ…ちがいます…」

――しまった。

「それは、1テイク目完成までの時間です」

関西アイマス合唱部収録の時の話3

前回までのあらすじ:収録時間が足りない問題を解決したかと思ったのも束の間、提示された激しいパートバランスに凍りつく私と機材支援担当。

 

関西アイマス合唱部収録の時の話2 - ザ☆シュビドゥヴァーズの日記

 

対処猶予は、残り1日。

 

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前回ブログでのアシスタントとのやり取りと並行する金曜夜20時半、シュビ内部ライン。

「春アニメ動画出来ました」

可能ならこの土日でアップしたいところですが、如何でしょう」

「マスタリングしなきゃ…」

この一週間前、シュビは春アニメの収録を終えており、音源・動画完成をもって動画アップロードの予定でした。しかし@関西収録を目前にした私は一週間の間忙しく、音源はまだ素の状態のままだったのです。普段よりかなり早く動画が上がって来た事で、タダでさえ時間のない遠征録音前日の一日でマスター音源を上げるイベントが発生しました。

「明後日は大阪行って関西アイマス合唱部録ってます。今日この後も用があるので明日中に出来るかどうかはちょっと微妙です。すいません。出来るだけ早く上げます。」

「明日は暇なのでなんなら古城邸に殴り込めますが」

「マスタリング教えてもらいたみある」

「手伝いならいけます」

 

「う、うん(なんでみんな明日ぼくが休みの前提で喋ってるんだろう…)」

 

解説をするエス「こういうところがブラック合唱団といわれるゆえnアッハイ、シュビは実際ホワイト合唱団、欺瞞は一切ない」

 

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一切ない



 

というわけで大阪行き前日、土曜日。

シュビメン3名が私の家に来て編集者が逃げ出さない様監視マスタリング音源チェックを一緒にしてくれる事になりました。



第三回「周辺機器は無性生殖で増える」

 

昼に私の家に集合し、大ざっぱな流れを説明しながらマスタリングを行うこと3~4時間。メンバーの協力もあって作業は順調に進み、無事、ある程度の形が出来あがりました。残っている細かい質感の調整等は話しながらでは出来ないので、今日はここまでとして一段落することに。

 

時間は夕暮れ時、まだメンバーの帰る時間までには余裕があります。

「明日の機材チェック手伝ってもらってもいいかな」

 

なんとか一人で運べる量とはいえ、今回はそれなりに規模のある録音。

マイク、コード類を含めると全体では相当な重さと体積になります。

特に今回は大人数の同時収録です。全員のヘッドホンに対してモニタリング音声を返す為の機材もまた、それなりの規模になります。せいぜい多くて10人程度のシュビ向けの機材では、とても対応出来ません。前日に動いてくれていたアシスタントの計算を元に、みんなで対応機材を確認していきます。

 

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アシスタントによって整理された配線図。これはパンダ(私)には出来ない



 

「こっちでHアンプ3基、ミニ分岐が6」

「私も手持ちで1基、それからさっきTwitterで@関西メンバーからもう1基協力取り付けました」

「ゲイン(出力)心配だけどスプリッタで一応人数分の出力数は確保できる」

「Aが3人なのでSと同じように2分岐させて、あと1人は標準径ジャックで分岐させたらTと根元の方から分けられるので楽かなとか」

「それでいこう。IFにアウトが2つあるから分岐の節約になって助かる」

「よし、ギリギリだけど一応足り、」

「そういえばPJ足ります?」

「あっ…」

 

ここまでの調整で、なんとか人数分のヘッドホンを挿せるだけのジャック数は確保できていました。通常、このジャックから延長コードを伸ばして全員の立ち位置まで音声を送ります。シュビドゥヴァーズでは大体3mくらいの延長コードを使って、伸ばした先でメトロノームやカラオケを聴きながら歌います。

しかし今回の人数は30人。ズラッと並んだ時の事を考えると…横幅が長い!

手配していた延長コードではどうしても一部だけ足りない事がこの時に判明しました。

 

この時、時刻は6時15分。

これらのパーツは普及品ではあるもののそこそこ特殊で、欲しい物全部は秋葉原の専門店まで行かなければ手に入りません。地元の家電量販店での入手は難しく、録音前日では当然通販も間に合わない。

秋葉原のショップは7時半には閉まる。所要時間は電車1時間、車も下道で1時間、高速使うと……35分。着いてから店まで急いで向かって5分。

……10分以内に車で出発すれば間に合う。

 

迷っている時間はありません。

「現状の確認作業は中断。5分でここを出て秋葉原に向かう。準備を」

片付けもそこそこに家を飛び出して車に乗り込み、高速に向かいます。

幸い道は空いており、まずまずの時間を残してショップに到着。

今度こそ何かあっても良いように、余裕をみてパーツを大量に買い込みました。ケーブル、延長、両凸接続、分岐ジャック。現地行き高速バス片道分位の出費となりましたが、これで懸念事項は解消のはず。

 

もうあとは帰って荷造りし、朝一で東京駅に向かう準備だけです。

「せっかく…秋葉原まで来たのにこれだけで帰るの…何か他に見られるものとか…」

「帰って寝てください」

「はい…」

 

とんぼ返りからのスーツケースにすべての機材を詰め込み、玄関に置いて布団に入ります。

出発は朝6時。

 

ここまであまりにも突貫工事での対処。アシスタントやメンバーの協力でなんとかここまで来たが、本当に全て上手く機能してくれるのか。

初めて会う方も多いであろう関西の皆さんとちゃんとコミュニケーションとって問題なく進められるのか。ここまでのやり取りの綱渡りからするとまだ何か問題が隠れているのではないか…。

(あのケーブルは忘れず入れたはず…ジャック本数、コード長の計算は今度こそ合ってるはず…)

布団に潜ってじっとしていても、頭の中で確認が止まりません。

 

長年の希望が叶ったレコーディングを楽しみにしている余裕など全然ない。

わざわざ関西まで呼んでもらっている以上、絶対失敗出来ない。

怖い。

眠れない。

怖い。

 

一度だけ意識が落ちたのが、約1時間。すぐに出発時間はやってきました。

関西アイマス合唱部収録の時の話2

前回のあらすじ:認識のズレで時間めっちゃ足りなくなりそうだったけどアイマス合唱部@関西の顔パスでなんとかなった。すごい。

関西アイマス合唱部収録の時の話1 - ザ☆シュビドゥヴァーズの日記

 

第二回「それはATBBとかではなく」

 

「パートの中で軸になる人とかって把握出来ますでしょうか?」

「ソプラノが2人、アルトが3人位です。」

「経験者とか、技術的に強い人は…」

「大学の合唱団でバリバリやってた人もいますし、大丈夫です」

 

「おお!頼もしいですね!バランスもいいですし、それなら結構いけそうですね!

で、男声の方…テナーとバスも確認をしておきたいんですが」

「10人です。」

「えっ」

「テナー、バス、それぞれ10人ずつです。」

「げっ」

 

この時点で、木曜の深夜。

録音当日は、日曜。対処猶予はあと2日。

 

金曜日 

「問題を整理しよう」

当日まで時間がありません。大人数に動いてもらっている以上、状況の変更は不可能です。

アシスタント(今回遠征には不参加・情報支援)と仕事の合間にやり取りをします。

「問題点は2つ。一つは以前に聞いていたよりもだいぶ人数が多いこと。」

「そしてもう一つは、これも想定よりだいぶ前衛的な人数バランス。」

直前に発覚した対処事項としてはどっちも結構大きな問題です。

前者は下手を打つと機材で対応出来るキャパを超えてしまい大きな不便をかける。場合によっては録音に参加出来ない人さえ出る。

後者もうまく処理しないと、音源のバランスが大崩れになる。

 

「前者に関してはどれだけカバーできるかの問題なので、現状の構成で人数とパートにどこまで対応できるか割り出しをお願い。僕は今日中にバランスの方の検証をする」

「了解です」

私はパンダと同じくむずかしい事を一度に2つ考えられないので、一つは私の機材を把握しているアシスタントに任せます。

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笹とか食ってる場合ではない

この収録では、マイクを8本使用する前提で予定を組んでいました。しかし、ここまで著しいパートバランス差は流石に悩ましいものです。

本来であればソプラノ・アルト・テナー・バスにそれぞれ2本ずつ立てるのが妥当です。これで音が分かれるディヴィジョン等にも対応できます。

 

しかし、今回の人数比でこれをやると女声は1人当たり1本、対して男声は1本のマイクを5人で使わなければなりません。

いくらなんでもこんな極端な編成は今までにも経験がない。これは流石に録れる音に影響が出るのではないか。マイクに入る声の複雑さも違えば距離感も違う。

コンサート録音の様にある程度人数配分に合わせて配置すべきなのか。

それともパート個別のマイクを多少減らしてでも離れた所にツーポイント(ステレオで全体の音を録る用に2本セットで置くマイクのこと)ラインを組んでおいた方が後で編集する時調整の余地を残しておけるのではないのか。

当日の予定を考えると、現場でセッティングを変えながらいちいち試している暇はありません。これと決めたら多少の不満はあろうとそのままの配置で通す事になります。最低限ベストと思われる配置を決定しておかなければなりません。

 

問題が解決するより先に、時間はどんどん減っていきます。

仕事が終わって22時。そこから検証を始め、進めるうちに日付はかわり、土曜日。

対処猶予は、残り1日。



次回「周辺機器は無性生殖で増える」

リモート合唱やってみた感想そのいち

エスです。春アニメ曲の録音をぼちぼちやってます。 

ご時勢に漏れずシュビもリモート録音やってるわけですが(そもそもシュビアジトは自宅なので外出に当たらずセーフなのでは?ボブは訝しんだ)、ざっくりとした感想を書いていこうと思います。  

 

■良いところ  

・自由に時間を使える。 

隙間時間にちょろっと録ったり、何日かに分けて録音したり。メンバー全員の都合をつける必要もなく、「今日はパート欠けあるからコンバートしよう」みたいな事態も起こらない。  

・他の人のミスに左右されない  

全員で録ってるときに一人がクリティカルなミスをすると全員やり直しになるのが、一人で録音してると自分が間違えない限り録音が通る。  

・時間の制限がゆるい  

集まって録ると帰宅などの都合で「20時までに全撤収だから間に合わせて!」みたいな事態が起こりがちなところ、自分の時間が許す限り録音に使える。  

 

■悪いところ  

・自分のミスに自分で気づかないといけない  

エス氏が楽譜読めないのが問題なんだけど、間違ったまま録音しても気づいてくれる人が誰もいない。集まってればその場で気づいて直せるけど音源あげた後に言われてまた機材出して録音するの面倒。  

ディレクションする人がいない  

自分で楽譜を書いてなかった場合、ここはどうしようかっていう相談がリアルタイムでできない。掛け声なんかの質感は話し合いでかなり形成される部分があるのでトライ&エラーのスピード感がない。  

・歌ってから録音が完成するまでのタイムラグがすごい  

今回は初ということもあって仮歌を作ってから本格的な録音するまでに2~3週間くらいかかってる。単位取得の時レポートのほうが好きなひとはいいけど一発やってすぐ結果のテスト形式が好きなひとにはあんまり向かない。もどかしいし集中力の維持ができない。  

・歌ってるときに和音とかグルーヴを感じられない  

これはもう単純に、正直一人で歌っててもあんま面白くないよねっていうアレです。かといって一人で全パート録って聴きながらっていうのも私の音域では厳しい。  

 

ざっと挙げたところこんな感じです。  

総評としては、「一時的な代替手段としてはありだけどやっぱ顔突き合わせながらやりたいよね」ってところです。やっぱ話が早いのが一番ですわ。  

合唱はちょっと苦境に立たされてますが、まあそのうち集まってやりたいところですね。冬コミに向けての録音もありますしね。  

では本日はここまで。録音上がったらまた書くかもしれません。