関西アイマス合唱部収録の時の話2
前回のあらすじ:認識のズレで時間めっちゃ足りなくなりそうだったけどアイマス合唱部@関西の顔パスでなんとかなった。すごい。
関西アイマス合唱部収録の時の話1 - ザ☆シュビドゥヴァーズの日記
第二回「それはATBBとかではなく」
「パートの中で軸になる人とかって把握出来ますでしょうか?」
「ソプラノが2人、アルトが3人位です。」
「経験者とか、技術的に強い人は…」
「大学の合唱団でバリバリやってた人もいますし、大丈夫です」
「おお!頼もしいですね!バランスもいいですし、それなら結構いけそうですね!
で、男声の方…テナーとバスも確認をしておきたいんですが」
「10人です。」
「えっ」
「テナー、バス、それぞれ10人ずつです。」
「げっ」
この時点で、木曜の深夜。
録音当日は、日曜。対処猶予はあと2日。
金曜日
「問題を整理しよう」
当日まで時間がありません。大人数に動いてもらっている以上、状況の変更は不可能です。
アシスタント(今回遠征には不参加・情報支援)と仕事の合間にやり取りをします。
「問題点は2つ。一つは以前に聞いていたよりもだいぶ人数が多いこと。」
「そしてもう一つは、これも想定よりだいぶ前衛的な人数バランス。」
直前に発覚した対処事項としてはどっちも結構大きな問題です。
前者は下手を打つと機材で対応出来るキャパを超えてしまい大きな不便をかける。場合によっては録音に参加出来ない人さえ出る。
後者もうまく処理しないと、音源のバランスが大崩れになる。
「前者に関してはどれだけカバーできるかの問題なので、現状の構成で人数とパートにどこまで対応できるか割り出しをお願い。僕は今日中にバランスの方の検証をする」
「了解です」
私はパンダと同じくむずかしい事を一度に2つ考えられないので、一つは私の機材を把握しているアシスタントに任せます。
この収録では、マイクを8本使用する前提で予定を組んでいました。しかし、ここまで著しいパートバランス差は流石に悩ましいものです。
本来であればソプラノ・アルト・テナー・バスにそれぞれ2本ずつ立てるのが妥当です。これで音が分かれるディヴィジョン等にも対応できます。
しかし、今回の人数比でこれをやると女声は1人当たり1本、対して男声は1本のマイクを5人で使わなければなりません。
いくらなんでもこんな極端な編成は今までにも経験がない。これは流石に録れる音に影響が出るのではないか。マイクに入る声の複雑さも違えば距離感も違う。
コンサート録音の様にある程度人数配分に合わせて配置すべきなのか。
それともパート個別のマイクを多少減らしてでも離れた所にツーポイント(ステレオで全体の音を録る用に2本セットで置くマイクのこと)ラインを組んでおいた方が後で編集する時調整の余地を残しておけるのではないのか。
当日の予定を考えると、現場でセッティングを変えながらいちいち試している暇はありません。これと決めたら多少の不満はあろうとそのままの配置で通す事になります。最低限ベストと思われる配置を決定しておかなければなりません。
問題が解決するより先に、時間はどんどん減っていきます。
仕事が終わって22時。そこから検証を始め、進めるうちに日付はかわり、土曜日。
対処猶予は、残り1日。
次回「周辺機器は無性生殖で増える」