ザ☆シュビドゥヴァーズの日記

毎日更新されたりされなかったりする日記

これからの川島瑞樹の話をしよう

エスです。前置きはいいからデレステフォーリンシーサイドイベ5話のコミュを見ろ。
見ましたか? 見ましたね。では話を始めようか。

まず前提というか、私の今までの来歴およびスタンスを書いておこうと思う。
モバマスのサービス開始からおよそ1ヶ月、冬コミの帰りに放課後賢者タイムプロ社長の尻毛魔神氏に「先っぽだけ! 先っぽだけでいいから!」と言われ、モバマスの招待を受ける。
せっかく招待されたしちょっとやってみるか、と年明けに始める。2日後に「この川島瑞樹って人、ちょっと気になるな……」と発言。当時は担当P概念がよく分かっていなかったのでその時点での担当宣言はなかった。 それからかな子や智絵里ちゃん、まゆなどに気を取られつつも常にフロントには川島さんが鎮座しており、開始から半年後くらいで担当宣言をするに至った。
当時はモバマス全盛期。川島コラが流行り、アンチエイジングネタが、わかるわが代名詞となっていた。川島さんは(公式からも)いわゆるネタキャラとしての扱いが多く、自分も多分に漏れずゲラゲラ笑っていたクチだったのだが(第一回総選挙で初っ端川島さんが出てきた時はめちゃめちゃ笑ったし声も曲もついた。としくんありがとう)、あるイベントをきっかけにその傾向は徐々に変わっていくことになる。

川島瑞樹1.0→2.0 ネタキャラから大人キャラに

2012年10月4日、第5回フェスで「永遠のプリンセス」川島瑞樹が実装。記念すべきフォーリンシーサイドの初邂逅である。 (ちなみに私はそのころ自転車で転んで骨折しており、ローソンコラボ商品を求めて車椅子で入院先を抜け出してシルバーチャリオッツPとか言われてた)。 今にして思うと、あそこから公式の川島さんの扱いは変わっていったように思う。
わかるわネタやアンチエイジングに頼らず(そもそもネタキャラ扱いがネットのノリにより増幅されていた部分はある)、「麗しき淑女」でオトナ路線、しかもそのころに東山奈央という素晴らしすぎる実力派の声優が声をつけて下さった影響で、ネタキャラだけではない川島さんの面を見せてくれた。
ネットではもちろんネタキャラとしてのイメージが強いものの、それ以降のアイプロなどもあり、それ以外の魅力を認識した人も多かったのではないかと思う。

川島瑞樹2.0の停滞

一方、川島さんが大人キャラとして定着していく中、ある種の停滞感がなかったと言えばそれもまた嘘である。
川島P界隈では以前から「川島さんは主人公に据えて話を書こうとすると難しい」ということが言われていた。大人としてのキャラが安定するうちに、安定しすぎて起承転結の転が書きづらくなってしまったのだ。
サブキャラとしての使い勝手は抜群にいい。ネタ振り要因としても相談相手としても良く、人脈は広いし人当たりもいい。けれど、メインに据えると途端に難しい。川島瑞樹はそういう立ち位置のひとだった。
モバマスのみならずこの傾向はデレステにも顕著に表れる。
オルゴールの小箱やサマカニなどは「時々はっちゃける保護者」的な立ち位置だし、nocturneでもメインではなかった。あれは下の世代がメインだ。
しかしながら、ソーシャルゲームにおいて停滞は避けられない。忌避すべきでないものとすらされる。物語が進めば、話が終わってしまうからだ。イベントや物事を繰り返すことで売り上げを生む構造である以上、新しい発見や横への広がりはあるにせよ本人の成長や進展は基本的には望みにくいものである。
川島Pもまた、その停滞に鷹揚な態度を見せる人間が多かった。私もその一人だ。シンデレラガール目指すのはまあ無理だろうし、そういう柄でもないよね、みたいな。
川島瑞樹は素晴らしい声帯があり、出番も一応はあり、ソロ曲はカバー含め3つ、SSRも種類があり、主役を張る高クオリティの漫画がある。これ以上何を望もうか。そういった雰囲気があったことは否めない。
だが、フォーリンシーサイドの新曲が来て、イベントが開催されたことにより、我々がいかに川島瑞樹の強さに甘えていたかを思い知らされた。

■フォーリンシーサイド 川島瑞樹は新しい地平へ

コミュ5話を見て最初に思ったのは、「俺はなんて愚かだったのか……」だった。
私は正直デレステのコミュは虚無虚無プリンが多い……というと言いすぎだが、良くも悪くも丸い、最大公約数を取ったような毒にも薬にもならないコミュが多いという印象を持っていた。
担当がいても例えばnocturneコミュは(川島さんにとっては)あまり革新的な切り口はなく、どちらかというとPretty Liarの前哨戦みたいなものであった。そこで描かれるのはライバルと口には出すが本気で追われるとは思っていない川島瑞樹高垣楓の姿で、当時としてはそこがコミュで提示できる解像度の精一杯だったのではないか? と思う。3年前のイベントだが、今見てみるとまた違った感想を持つだろう。
だがフォーリンシーサイドで、Gaze and Gazeで描かれた関係性はそんな生ぬるいものではなかった。
憧れを追う村上巴と追われる川島瑞樹
ライブで発表されたときは「村上巴が本気で憧れてくれたから、川島さんがそれに本気で応えることができた」という趣旨のツイートをしたが、そこから更に深く踏み込むとは思ってもいなかった。
個々の能力で見るならばともかく、川島さんはアイドルとしては完全にキャリアも実力も上で、それを対等にするということは取りも直さず巴ちゃんのレベルに合わせるということになる。
巴ちゃんがそれを良しとしないのはコミュ1~4で存分に語られた。むしろそこで語られたことで「この物語は村上巴の成長を描く話であって、川島瑞樹はそれを優しく導く指導者としての立ち回りになるのだろうな」と予想していた。
しかし5話で描かれたのは、追われるものとしての覚悟、”””川島瑞樹の生き様”””だった。
川島瑞樹が大阪公演にいたのは、誰よりもロックな生き方をしているからだ。安定した高給のアナウンサーを辞め、28歳にして不安定なアイドルを選択したのは、アイドルの煌めきに憧れ、夢に殉じたからである。それをロックと言わずして何と言うのか?
巴ちゃんは「我が強い」と言っていたが、実は川島さんもめちゃくちゃ我が強い。大人としての振る舞いがそうと見せないだけで、ここにすごい共通点がある。それだけの我の強さを持ちながらも大人としての振舞うからこそ、川島さんは川島瑞樹なのである。
そして、その大人の仮面を剥がすことができるのは、本気で川島瑞樹に憧れた、村上巴ただ一人なのだ。
「私は憧れを奪わない」は、本気で背中を追い求めてくれた巴ちゃんに対する、川島瑞樹の本気。恋を永遠に成就させてくれないアイドルとしての宣言。これはもはや百合ではない。””女””と””女””の覚悟と意地が見せるBLである。
考えてもみてほしい。28歳と13歳のユニット、フォローする側とされる側に甘んじるのが普通だ。年上が年下に本気でライバルだと、追いつけないほど先に立って見せるなど、尋常な覚悟では絶対に無理である。
私はここに、初期の頃の川島さんの姿を見た。ネタキャラ扱いされて隠れていたが、「小娘には負けない」発言など、初期の川島さんには名だたるクール勢の誰よりも負けん気が強く、尖っていたのではなかったか。大多数のPが見過ごしているうちにやがてその牙は大人としての立ち振る舞いに覆い隠され見えなくなっていたのではないか。安定した頼れる大人ポジションに収まって鳴りを潜めていたのではなかったか。
ではその牙は抜かれていたのか? 断じて否である。今回のコミュはあの頃の、いや、さらに研鑽された「アイドル川島瑞樹」が牙を剥いた。
コミュ後半、Pとの会話の中で発せられた「私たちのユニットが抱える最大の問題は……私自身だった」という言葉からも、川島瑞樹2.0の停滞が伺える。その停滞と向き合うきっかけをくれたのはPではなく村上巴で、Pはそこに至る道筋を作った。川島瑞樹は村上巴を通して憧れと夢を、過去の自分を見つめ、そして新たな地平へと進んだ。

余談だが、過去の自分との融合、受け入れで思いだすのはフジリュー封神演義である。
主人公の太公望は物語の後半、敵の幹部であった王天君が魂魄を分割された同一人物であると知る。仄暗い自分の側面である王天君を受け入れ、同一となることで彼らは伏羲となるのである。
川島瑞樹も同様に、途切れていた1.0と向き合うことで新しい川島瑞樹となったのではないか。

川島瑞樹3.0 物語は円環の外側へ

ポイント・オブ・ノーリターンという言葉がある。もとは航空用語で「ここを越えると帰還の為の燃料がなくなる地点」を指す言葉で、転じて後戻りのできない場所、物事の変換点という意味で用いられるようになった。
川島さんにとって、そしておそらく巴ちゃんにとっても、フォーリンシーサイドはポイント・オブ・ノーリターンになったのではないだろうか。
我々が見ていたのは停滞の円環ではなかった。連綿と続く螺旋だったのだ。物語が始まったということはいつか終わりが来る。ゲーム内で描かれることはない物語の先を、このコミュは確かに明示した。 「対等だ」と言ったことに対して甘えだったと語る川島さんの言葉は、そのまま川島Pに突き付けられたのではないか。ソーシャルゲームだからと停滞に甘んじていた我々に叩きつけられた、公式からの挑戦状なのではないか。
コミュ5話を読み終わったとき、私は悔しさと情けなさを味わっていた。圧倒的な敗北であった。我々を完膚なきまでに打ちのめしてくれたことに、そしてそこまで彼女たちのことを、関係性を描いてくれたことに感謝するしかなかった。それを先に提示してきたのが公式であることの意味がとてつもなく重かった。
恐らく我々が思うよりもずっと、公式はアイドルのことを考えてくれているし我々のことを信頼してくれている。私はそう信じたい。

今年はボイス選挙とシンデレラガール選挙が分かれる。今までボイス争奪にしか興味はなかったが、今年は違う。
川島瑞樹をシンデレラガールにする。そうしないと私は村上巴と、これまでフォーリンシーサイドを応援してきてくれた巴Pたちに顔向けができない。私は私の誇りの為に川島瑞樹をシンデレラガールにしてみせると決めた。
もしこの文章を読んで応援してくれる気になったとしたら……それに勝ることは何もない。よろしくお願いします。