ザ☆シュビドゥヴァーズの日記

毎日更新されたりされなかったりする日記

これからの緊急伝達手段を考える

imockです。

先週末は台風がやってきまして多数の爪痕を残して行きました。私の家は川沿いではない高台にあるため無事でしたが、市内の川が氾濫し各社報道でも大きく取り上げられていたため、様々な方から安否確認のご連絡をいただきました。ありがとうございます。しぶとく生きてます。

本編

ここ最近脳内がほとんど台風と仕事で埋め尽くされていたのでその関係の話です。なお、私自身は公務員ではありません。
台風の日、皆様お住まいの市区町村から「○○川から水があふれました」とか「直ちに避難してください」などの放送が入ったと思います。専門用語では「防災行政無線」と言いまして、各地に設置されたスピーカー(屋外拡声支局)から放送される仕組みとなっています。災害時の緊急放送用途が主ですが、12時の時報や迷い人のお知らせ、選挙の投票の呼びかけなど様々な場面で活用されています。
【参考】Wikipedia:市町村防災行政無線

この仕組みが非常に重要であることは言うまでもないのですが、複数の問題点を抱えています。

  • 聞こえない
    今回の台風は雨風ともに非常に強力であったため、どの家でも雨戸を閉め、中にはテープや段ボールなどで万が一のガラス窓の破損に備えるなどの措置を取った方もいらっしゃると思います。窓を閉め切れば当然外からの音声はかなり聞き取りづらい状態となります。実際私の家では放送のチャイムは聞こえましたが内容は8割ほどしか聞き取れませんでした。
    高齢化が進行する昨今では、耳の遠い高齢者のみの世帯も多いため、聞こえないことは重大な問題です。(なお、単純に放送の音量を上げた場合はスピーカー付近の世帯から苦情が来てしまいます)

  • 費用も手間もかかる
    屋外拡声支局を1箇所新設する際の費用は柱部分が約180万円、受信・放送設備が約70万円で合わせて250万円ほどかかります。自治体の規模によって支局の数は異なるものの、100箇所設置する場合約2億5000万円かかります。一度設置すれば柱部分は40年、受信設備は15年程度使用できますが、定期的な点検は必要ですし、それに伴う維持補修費も要します。

対策

  1. 戸別受信機の配付
    【参考】「使っていますか 防災に役立つ戸別受信機」(くらし☆解説) | くらし☆解説 | 解説アーカイブス | NHK 解説委員室
    各世帯に受信機を配付する方法です。屋内から音声が流れれば聞こえないということはないですね。
    働き手世代であればスマートフォンの通知(ソレソシレー♪)や、防災行政無線のメール配信サービスなどで確認できるので、配付先はほぼ高齢者単独の世帯に限られます。
    ただ、送信側の設備の更新や戸別受信機そのものの費用(1台約4万円)の問題があり、なかなか普及は進んでいないようです。
    介護保険適用とかにすればもう少し普及するかもしれません。

  2. 屋外拡声支局の集約
    機器更新時に支局の位置を見直し、災害が発生しやすい地域や高齢者単独世帯の多い地域に重点的に配置する、または地域別昼間人口・夜間人口を分析するなどし、支局の総数を減らす方法も考えられます。世帯数が少ない過疎地域には戸別受信機を設置して屋外拡声支局は廃止する、スマートデバイスが十二分に普及した地域(中国の深セン市レベルで)であれば皆手持ちのデバイスで確認するため無線放送自体行わないなど……。
    特にコンパクトシティ化を進めている人口減少地域では今後考慮する必要が出てくるのではないでしょうか。

  3. 全国民にデバイスを配付する
    半分SF世界の話ではありますが、全国民に対して身分証明兼受信機のような同一のデバイスを配付すれば、緊急連絡の確認漏れは発生しないでしょう。
    マイナンバーカードにポケベル+αの受信・通知機能を付けたようなイメージです。費用面はさておき技術的にはもう可能な時代になっていると思います。
    どこかの小規模でお金持っている国(モナコルクセンブルク)あたりで実現しないかなぁ……。

まとめ

明確かつ費用面でも技術面でも現実的な解決策というのはないので、今後も検討する必要があります。少なくとも現在働き手世代ではスマートフォンが普及しており、今後は少しずつデジタルな手段に置き換えられていくでしょう。
また、現行の仕組みを管理・運用し、避難所対応も行っている自治体職員様には頭が上がりません。一時期仕事のわりに給料が高いなどと公務員叩きが盛り上がりましたが、決してそんなことはなく、目に見える部分から見えない部分まで市民の生活を日々維持・改善してくださっています。なのでむやみに市役所や避難所で職員相手にクレームするのはやめてくださいね。相手も人間です。